「……もう……
何回読んでも泣けちゃうよ……」
バカ……。
ほんと泣きすぎて、悔しいよ。
もういないのに、
突き放す言葉を書かれているのに、
そこには愛しさと切なさが混ざり合うぶんちゃんからの優しい……
優しい手紙だった。
風が吹く窓に近付いた。
──…今日は、3月29日。
あなたが、東京に旅立つ日。
見送りには行かないと決めた。
行けばきっとやり直したくなる。
ずっと未練を引きずってしまう。
だから──…
だからこの窓から見送ります。
時刻は9時。
──空を、見つめた。
あなたが今、この空にいる。
この遥かな、大空に。
夢に向かって飛び立つあなたを、ここから見送るよ。
飛行機…
ちゃんと飛んだかな?
お願いだから、墜ちたりしないでぶんちゃんをちゃんと送り届けてね。
………頑張れ。
頑張れ、
あたしが大好きだった人。
夢を叶えなきゃ許さないんだから。
絶対絶対…
夢を叶えてね──…。



