───…三月…。
春風がそよそよと部屋のカーテンを揺らす。
外は再び春の景色の準備中。
もうすぐタンポポやつくし、桜が目を覚ます。
……そんな優しい時間がまたやって来る。
「…ん~~っ」
ベッドから一つ伸びをして、ゴシゴシと目をこするあたし。
「…………」
思い出したようにベッドから起き、窓にかかった制服のポケットに手を入れた。
「…あったあった」
もう何回も読み、既にしわくちゃになった一通の手紙。
……そう、卒業式にぶんちゃんから貰った最初で最後の手紙。
カサカサ──…。
あたしは今日もまた、
その手紙に思い出を求めて開き始めた。



