「……桜井さん。
俺らもう、初めから何もなかったことにしよう。」
─────………。
“桜井さん”
………もう………
“彩”って名前も呼んでくれないんだね──…。
あたしも、もう気持ちを整理しなきゃ。
あなたを見送るんだ。
ちゃんと卒業するんだ。
「……高山…さんも……
頑張ってね……?」
“高山さん”
その呼び掛けに、
ぶんちゃんは静かに頷いた。
「──…ありがとう。」
「──…こちらこそ…
ありがとう───…」
ギュッと繋ぐ互いの手。
最後の最後にあなたの温もりを感じた。
忘れないよ。
忘れない──…。
あたし達は無理矢理、
時間の針を
出逢う前へと戻した──…。



