感動的な卒業式に胸を打たれ、ぼーっとしばらく席に座ったまま。
隣で眠るナナを起こすこともせずに、本当にただぼーっとしていた。
「──彩!」
ん………?
──…名前を呼ばれ、
振り向けばそこにはキョーコの姿があった。
「これ…
書いてくれるかな…?
後で先輩達に渡したいんだ……」
そう言われ手渡されたのはカラフルに彩られた色紙だった。
「──…彩で最後だからさ、メッセージ書いたら体育館裏まで持ってきてね♪」
そう言い告げたキョーコは“またね”と手を振り、そそくさと去ってしまった。
「……」
色紙……かぁ……。
煌びやかな、心が籠もった温かい手作りの色紙。
そこには部員全員がそれぞれ先輩達にメッセージを書き記していた。
あたしもペンを握り、チヒロさんやアミさん達にメッセージを並べる。
────そして。
最後の一枚になって手が止まる。
★★ぶんちゃんへ★★
そうかかれた色紙には、
遥かにメッセージの量がハンパない。
ぶんちゃん……
ねぇぶんちゃん…
すごいメッセージがギッシリだね…?
みんなから慕われてる証拠だね……?
「………えっと……」
あたしも小さなスペースを見つけ、僅かではあるが感謝のメッセージを書き始めた──…。



