体育館の重いドアが開く。
吹奏楽部の演奏する曲とともに、
胸に花を添えた卒業生達が、列になって誇らしげに歩いていく。
キョロキョロと視線を動かし、必死にぶんちゃんを探した。
ぶんちゃん──…
ぶんちゃん──…
どこ………?
「ねー高山さん見つけられた?」
ふぁっと欠伸をするナナを見てしまい、一瞬でチェックしていた視界が分からなくなった。
「あーもう!
ナナが話しかけるから分かんなくなったじゃん。」
「えーそこナナのせい?」
──…結局見つける事は出来ないまま……。
「───…はぁ……」
しょぼんとうなだれ次のチャンスを狙う。
「──…みなさん今日はお日柄もよく─…」
そんな校長先生からの長い挨拶が始まると、ナナは再び夢の国へ行ってしまった。
続いてPTAやらのお偉いさんからの挨拶。
在校生からの送辞、
卒業生からの答辞。
あたしも意識が飛びそうになるのをこらえながら──…
「続いて卒業証書授与…」
───来た!!!!!
パチリと目を開け、気合いで全神経を集中させ耳を澄ませる──…。



