「彩ーっっっ!!!
こっちこっち!」
学校へ着くと、ナナが窓から大きく手を降っていた。
「うっ、うん!」
卒業式許可証を鞄から出し、係の人に見せ慌ててナナが待つ体育館へと急ぐ。
体育館はぎっしりと椅子が並べられている。
卒業生、在校生、保護者やPTA──……。
ずらりと並ぶ席からおもいっきり手を振るナナを見つけた。
「ナナ、ただでさえデッカいんだから目立ち過ぎ。」
「なにをー!?
人がせっかく目印になってんのに何だその言い草は!」
あたしは落ち着かない様子でナナの横に座る。
あー……
ここからぶんちゃん見えるのかなぁ……?
ただでさえチビだから、見えなかったら来た意味がないじゃん……。
──…そして、すぐに隣からナナの寝息が聞こえて来て数分後……。
「それでは、
只今から第63回K高校卒業式を開始致します。」
──…教頭先生の凛とした声が聞こえた。



