もつれるような足取りで玄関まで行き、弾む脈拍を落ち着かせながらドアを開ける。
「ぶんちゃん─…」
「…………」
そこには、何も言わずに下を向くぶんちゃんがいた。
来て──…くれたんだ…。
「……入って?」
涙を我慢し、ぶんちゃんを部屋に促す。
──泣いちゃダメ。
あたしが悪いんだから。
絶対に泣いちゃダメだ…。
重い重い雰囲気が二人を襲う。
耐えきれずに、あたしが口を開いた。
「──…あの……
来てくれてありがとう…」
「……………」
ぶんちゃんは何も言わない。
言わなきゃ──…
言わなきゃ─…!!
全身全霊の力を込め、
パッと顔を上げる。
けれど──…
「────……」
言葉を無くし、
意気込みが一気に沈んだ。
だって───…
いつもぶんちゃんの胸に光っていた、
あたしがクリスマスプレゼントにあげた、ガーネットのクロスが……。
ないんだ───…



