時計はもう2時間をゆうに過ぎてしまった。
…もう…来ないか…
ここまで見放されたのかぁ…
悲しい──…
悲しいな……
──…諦めて下に降り、
冷え切った身と心を温める為にココアを作った。
白く上がる湯気を見て、涙が滲んだ……。
謝りたかった。
謝りたかったよ──…
あたし、
あなたにまだ
“さよなら”も
“ごめんね”も
言えてない。
何も言えてない…。
それだけが心残りだよ。
───…涙を拭い、時計の電池を抜く。
聞きたくない。
聞きたくないよ、
未来が進む音なんか。
───…その時。
───ピンポーン。
「………えっ………」
まさかの、インターホンが鳴った──…。



