────東……京…?
「───……え……?」
待って……?
今──……
何て………?
「───…ごめん…
ずっと話そうと思ってたんだ──…
こっちの大学進むって事─…。
でも…
彩の声聞いたら…
言えなかった…」
──────……
記憶の片隅に、受験前日の電話の会話が蘇る。
“────彩!”
─…最後に呼び止められた事を思い出した。
───…うそ……
まさかあの電話掛けて来た時には…
こっちにいたって事…?
そんな……
東京って…
東京ってここでしょ…?
ここまで来るのに今日何時間かかった…?
───目の前が真っ暗になる。
さっきまでいた夢の国から、一気に現実の世界に引き戻されてしまった。
「どうして──…っ」
どうして?
どうしてそんな大事な事話してくれなかったの?
「ごめん…
彩の声聞いたら絶対に決心鈍るから言えなかった……」
─────……
「──…だから…
彩が決めて欲しいんだ…」
────ドクン…。
「…な…にを…?」
「俺と──…
別れるかを───…」



