──…初めての旅行。



太陽があたし達を祝福してるみたいに感じて、思わず空を見て微笑んだ。



これは最高の旅行日和じゃない?






「ぶんちゃーんっ!!」





駅で待ち合わせしているぶんちゃんの胸に、嬉しさを我慢出来ずに飛び込む。





「彩!

…ってか荷物重っ!」





ぶんちゃんはあたしの重そうな荷物をひょいっと抱え、ニコニコと笑った。




そんなぶんちゃんの荷物は小さいスポーツバッグ一つ。





「ぶんちゃんは荷物少ないねー…。」




「下着くらいだしなー…」




「あっはは!」





受験でなかなか会えなかった時間を埋めるように、会話を一つずつ楽しみながら…




二人は切符を買い、電車を乗り継いで空港へと向かう。



いよいよ飛行機に乗り込み、離陸した。




あたしの気持ちも一緒に空へ浮かぶ。





「ぶんちゃん♪飛んでるよ!!」




「雲綺麗だな…

写真取りたいな…」




「取っちゃダメなの?」




「ダメなんじゃない?
分かんないけど」




「そっかぁ…」






旅行なんて本当に夢みたい。



24時間、一緒にいられるんだ……。


ずっとぶんちゃんの隣にいられるんだ──…。




朝が早かっただろうか。




「……………」





そのうち自然と眠気があたしを襲う。




「…寝ていいよ?」



「……ん……」





ぶんちゃんの声があたしをさらに眠りの国へと誘った。



あたしってダメだなぁ…



本当は一分一秒でも惜しいのに……。




寝るのも…



惜しいよ──…。