「──…いや?」




「ぜっ全然!

あたしも行きたい!!」




声を上げて返事をするあたしに、ぶんちゃんはくすくすと笑った。





「じゃあどこ行きたい?」




「えっ──…

そうだな………」





北海道や沖縄もいいけど…


やっぱり一番行きたいのは───…





「ディズニーランド!!」



「ディズニーランド?」




「…うん、ディズニー行きたい!」





これはあたしの夢なんだ。


恋人とディズニーランドに行くこと……。



ずっとずっと憧れてた夢だったから……。





「──…いいよ、

じゃあディズニーランド行こう。



……二人で。」




「うん!!」




ぶんちゃんが嬉しそうに顔を綻ばせた。




旅行…

嬉しいな……。




バイト頑張ってお金貯めなきゃ……。






「──…彩」




ふいに目が合う。





「───…好きだよ」







唇がゆっくり重なった。



線香花火が落ちて、

辺りは元の暗さに戻る。



落ちた線香花火の灰が闇に紛れて見えなくなった。



でもそんなの気付かないくらい嬉しくて嬉しくて仕方なかった。




だから──…




線香花火のように儚く終わるだなんて思ってもいなかった。