みんなの輪を抜け、

一人ぶんちゃんを探して歩き出す。





「──彩!」





背後から呼び止められ、

振り返ると心配そうな朝岡さんの姿が─…





「…朝岡さん…」




「ぶんやろ?

あっち歩いて行ったの見たで。


これ持って行き?」






そう言って…

朝岡さんが花火を手渡してくれる。






「──…ありがとう…」





朝岡さんは何も言わず、

笑顔でポンとあたしの背中を押した。






「──…俺はいつでも応援してるよ。」





そう言って─…




朝岡さんはみんなの元へ戻って行った。





──…相変わらずな優しさに感謝しか込み上がらない。





朝岡さん……




ありがとうね……






押してもらった背中を伸ばし、あたしは砂浜を歩き始めた。