「このままだと、
彩はただのクラッシャーだよ。」
「────……え……」
ナナが冷たく突き放すような目線であたしを見る─…。
“クラッシャー”……?
その言葉にズシンと錘が乗る……。
でも…
“違う”と言えない─…。
「高山さんと元彼女さんを別れさせて、今度は朝岡さんとチカさんを別れさせて。
一体いくつカップル壊せば気が済むわけ?」
─────…!
厳しいナナの言葉。
……でも……
その通りだ──…。
あたしは現に別れさせてばかり。
「……彩ならさ……
朝岡さんの立場とか気持ち……
分かるはずでしょ───…?」
───そうだ。
今言われた事がガツンと頭にぶつかる。
あたしなら……分かる。
分かるよ…。
好きで仕方なくても、
叶わない自分の気持ち。
むくわれない想い。
惨めで虚しくてどうしようもない。
行き着く場所がない自分自身。
────…分かる。
その気持ち、
痛いほど知ってるよ。
あたしがそうだったから。
それなのに、朝岡さんは勇気を振り絞って連絡をくれたんだ……。
いつも自分の事ばっかりだ。
……どうして……
どうして最優先に他人の事を考えてあげられないんだろう。
どうして優しい人間になれないんだろう。
「──…ナナ…ごめん……。
あたしやっぱり行く──…。」
俯きながらそう言うと、
ナナは優しい微笑みを浮かべた。
「うん、分かってくれたならいいんだよ。」
「……ん……」
コクン…と頷き、
少し涙ぐむ視界から朝岡さんにメールを作成した。



