DEAR 1st 〜 SEASON〜





「このままだと、
彩はただのクラッシャーだよ。」




「────……え……」




ナナが冷たく突き放すような目線であたしを見る─…。




“クラッシャー”……?



その言葉にズシンと錘が乗る……。




でも…

“違う”と言えない─…。





「高山さんと元彼女さんを別れさせて、今度は朝岡さんとチカさんを別れさせて。


一体いくつカップル壊せば気が済むわけ?」





─────…!





厳しいナナの言葉。




……でも……


その通りだ──…。


あたしは現に別れさせてばかり。





「……彩ならさ……



朝岡さんの立場とか気持ち……


分かるはずでしょ───…?」






───そうだ。




今言われた事がガツンと頭にぶつかる。



あたしなら……分かる。



分かるよ…。



好きで仕方なくても、

叶わない自分の気持ち。


むくわれない想い。



惨めで虚しくてどうしようもない。


行き着く場所がない自分自身。




────…分かる。




その気持ち、
痛いほど知ってるよ。



あたしがそうだったから。



それなのに、朝岡さんは勇気を振り絞って連絡をくれたんだ……。




いつも自分の事ばっかりだ。




……どうして……



どうして最優先に他人の事を考えてあげられないんだろう。


どうして優しい人間になれないんだろう。





「──…ナナ…ごめん……。

あたしやっぱり行く──…。」





俯きながらそう言うと、
ナナは優しい微笑みを浮かべた。





「うん、分かってくれたならいいんだよ。」




「……ん……」




コクン…と頷き、
少し涙ぐむ視界から朝岡さんにメールを作成した。