ごった返す体育館の中。


ビッシリ敷き詰められた椅子に堂々と座り、一年生に紛れてナナと話し込む。




──…チカさんの事。



朝岡さんの事。


ぶんちゃんの事…。





「……ふぅーん。

それでチカさんはブチ切れした訳ね。」



「──…うん…」




頷いて、また胸がチクリとするのを感じた。


まだやっぱり、過去には出来ない。





「──…まぁこれは朝岡さんの問題であった訳で、彩は悪くないと思うよ?


チカさんの怒りを買ったみたいなさぁ。


…でも仕方ないよ、

どうしても人の気持ちは変わるもんだもん…」




「──…うん……」




……朝岡さんとチカさんの一件以来、あたしは部活に顔を出す事が出来なかった。



たとえナナが言うように気にする事はないと言われても──…。



“あの二人”は部活の中でもお似合いだったしみんなから好かれていたから。



何となく、あたしが悪い気がして──…。



部活内の雰囲気を気にして、なかなか練習にも行けずにいた。




……今から始まる、新入生歓迎会のステージもそう。



自ら、ステージに立つことを選ばなかった。



……ステージ、上がりたかったな……。





────…パッ。





そうこうしてるうちに、体育館の照明が落ち出した。