今までとは違う二年生の教室からの景色。


桜の花びらが風に誘われ舞い落ちる。


それはまるで新入生を歓迎しているみたいだ。




「部活の勧誘多いねー…」



ナナが紙パックのジュースを飲みながら、外の様子を見つめる。



……確かに。



校門では沢山の部活部員が、てんやわんやとビラ配りで賑わっている。






「……本当だね~…」




「……あれ。

…ねぇ彩、あれ高山さんじゃない?」




「うそっ!!どこ?!?!」



「あそこ。

…って彩危ないって!!」




ナナが指を指す方向に身を乗り出す。





───…あっ…。



一際、女の子が多い集団。



その中に、女の子達に揉みくちゃにされているぶんちゃんの姿が…。




「……ありゃー。

高山さんあれ営業スマイルじゃない?」




「………」




女の子達にとびっきりの優しい笑顔を見せながら、ビラ配りをしているぶんちゃん。


女の子はキャーキャーはしゃいで嬉しそう。


たまらなく、歯痒い。




「あーあ……。

あたしもビラ配りすれば良かった……。」




それを聞いたナナがパッとこちらを向く。




「あれ?そーいや何で彩はビラ配りやってないの?

いつの間に和太鼓やめたの?」




「…やっやめてないよ!!」





「じゃあ何で今から始まる新入生歓迎会で和太鼓叩かないの?」





────…うっ…。



さっきまで何にも気づいてなかった癖に、何でこうも鋭いんだか……。





「──何?

また何かあったの?」




「んーそれがね…。」





──…あたし達はそのまま授業をサボリ、新入生に紛れて体育館へ移動した。