「………彩………」
「…………っ
……好き………
……好きだよ……」
目を閉じたまま、嗚咽混じりに伝える。
今言わなきゃ、絶対に後悔する。
今だからこそ、“今”を伝えないといけない気がする。
───…そう思ったから。
「……彩……
目、開けて──…?」
ぶんちゃんの声がいつも以上に優しい。
「……」
──…無理だ。
涙が邪魔して目が開かない。
────…その時。
「……キスするよ?」
そう言われ、勢いで思わずパッと目が開いた。
「───…あ…」
「引っかかった。」
くすくすと笑うぶんちゃんが意地悪に見える。
「──…でも、
やっと彩のこと見れた。」
───キュン……
甘くて痛い心の叫び。
目の前にいる人が愛しくて愛しくてたまらないなんて、恋は病気だ。
「───…ぶんちゃん…」
「…彩、好きだよ…」
今この瞬間を、
奇跡だと思った。



