「──…もう1時か…
寝よっか…?」
ぶんちゃんが眠そうに欠伸をした。
疲れさせちゃったよね…。
あたしが色々面倒かけちゃったし…。
「…ごめんね…」
「何で謝るの?」
「……だって…」
──…言葉に詰まるよ。
迷惑かけ過ぎる自分が嫌だよ──…。
───と、落ち込んでいる瞬間だった。
「よいしょっ♪」
「?!?!」
身体が宙に浮く。
状況をよく理解しようと、ぱちぱちと目を凝らす。
「お姫様抱っこ♪」
……ぶんちゃんが楽しそうに上からあたしを見つめていた。
「えっ!?ちょっ─…」
待って?!?!
心の準備が出来てない─…!!
────トンッ…。
「…………っ」
優しくベッドに運ばれて、恐怖のあまりぶんちゃんの腕を掴む。
「──…大丈夫だよ…。
俺は──…
彩が嫌がる事はしないよ─…?」
─────………
身体全体に突き刺さったような優しい優しい言葉。
何なんだろう…。
この温かい感情は。
亮にされた時に感じたものとは全然違うの。
ぶんちゃんの思いやりが痛いくらい伝わってくるの。
…やけに泣けてくる。
こんな事、生まれて初めて思う。
あなたが、欲しい。
あなたを、知りたい。
あなたに、愛されたい。
あなたの、全部を受け止めたい。
「───…じゃ…ない…」
「───…え?」
「───嫌じゃない─…っ」
あたしを、知って欲しい。
あたしを、愛して欲しい。
あたしの全部を──…
受け止めて欲しい。
あなたに。
あなただけに。



