「──…待って…」
「──待てないって言ったら…?」
「………」
……プチン……。
外れる制服のボタンから、コンプレックスの塊が次々と現れる。
──…恥ずかしい。
もう今にも顔から火が吹き出そうだ。
「…む…胸……
…小さいから…やだ……」
「…そんな事ないよ、可愛い。」
………かっ可愛い…?
この小さい胸の一体どこが…?
キョトンとするあたしに、ぶんちゃんはくすくすと笑う。
「……そういうとこが。」
「……う……。
あんまり見ないでね…?
恥ずかしいから…」
トコトコと浴槽に近付くあたしに、ぶんちゃんは両手を広げた。
「──…おいで?」
────…改めて感じた。
ぶんちゃんは男なんだって。
腕の大きさも胸の厚さも骨格も──…。
あたしとは全然違う……。
───…ポチャン…。
お気に入りの入浴剤を溶かす。
すっぽりとその胸に包まれながら、溶けていく入浴剤を見つめた。
──…そして沢山沢山話したね。
本当にしょうもない話ばっかりだったね…?
ぶんちゃんってば、
あたしを笑わせようと必死だったね。
無理して冗談ばっかり言ってたの、覚えてる?
いっぱいいっぱい二人で笑ったね。
笑い過ぎて、顔とお腹痛かったっけ。
…あぁそうだ。
あたしがのぼせて、茹でダコみたいになったらぶんちゃん笑ってたよね。
──…ねぇぶんちゃん。
二人で見るただの乳白色の入浴剤でさえ。
あたしには綺麗に見えて仕方なかったの。
相変わらずバカだなって。
笑ってもいいよ──…。



