DEAR 1st 〜 SEASON〜



立ち込める浴室の湯気で頭がクラクラする。



……足が、急にすくむ。


もう逆上せたのかもしれない。


まだ、服も脱いでいないのに。


さっきからカタカタと震える指先がうっとうしい。




落ち着け、落ち着けったら……。



──…と、その時だった。






────パサッ…。




─────………!





ふいに背後から、服を脱ぐ音が聞こえる。




ドキン……ドキン……




もう、後ろは振り返れない。


後ろには、きっと知らないぶんちゃんがいるんだ。




そして更に──…






────カタン……。




ゆっくり近付いてくる、足音。







「────…彩…?」






────やめて。



名前を呼ばないで。



息が止まる。



死んじゃう。





────…ふわり。



後ろからふいに抱き締められて。







「脱がそうか──…?」




「───…っ…」




耳にかかる言葉が再び心臓を暴れさせた。