DEAR 1st 〜 SEASON〜



観覧車を降り、夜の闇に輝く雪を見ていた。


幸せだ、と一人感じて呟いた。


白銀の粉が指輪に落ちる。


溶けて雫となる雪を見つめ、指輪にそっとキスを落として幸せを噛み締めた。




「……ふふっ……」




キョーコとマサシが幸せそうに微笑み合うのが遠目に見える。



そして───…。





──…カタン。




「………………」



「……て……」






…………ん?



あれ………?


観覧車から出て来るのは………





朝岡さんとチカさん……?


二人は観覧車から降りると、無言で離れた。



いや……


正しくはチカさんが一方的に朝岡さんから離れた、といった感じに見える。



…どうしたんだろう?



心配になったあたしは、チカさんに近寄った。




「…チカさん…?」




チカさんはあたしの声に数秒してからハッと振り向いた。




「あぁ、彩ちゃん!

うまくいった?」





よかった。

いつもの明るいチカさんだ。



「あっはい!チカさんは…」



「帰ろっか♪」




………え?


間髪入れずに帰って来た返答。



更に……。



「寒いねー♪
早く家帰ってお風呂入らないとねっ♪」




………?



「は、はい…。」





チカさんは逃げるようにサッと行ってしまった。


遠くの方で、朝岡さんがジッと立ち尽くしているのが見える。




「彩?どうしたの?
行こう?」


「う、うん……」





キョーコに肩を押される。


あたしはそのまま大して二人に深くは追求しなかった。



そんな大した問題じゃないだろうと勝手に判断したんだ。





───この瞬間だった。



気付くべきだった。


気付くべきだったんだ。




朝岡さんとチカさんの異変に。