ポケットに軽く指を入れてみる。
────カツン…。
確かに、指が何か箱のような感触を捉えた。
──…嘘でしょ…?
どうして今まで気付かなかったんだろう。
そういえば、ポケットが膨らんでいる。
一体いつから?
どうやって──…?
「出してみて?」
ぶんちゃんが通った声でそう促す。
無言で頷き、あたしは小さな小さな箱を取り出した。
「……えっ………」
震える手に乗るのは、
白いリボンで結ばれた、
青い小箱。
これって……
──“TIFFANY”……?
青い小箱には、くっきりとそう書かれている。
憧れのブランド。
ティファニーだ。
うそ…
うそうそうそ?!?!?!
もうさっきから、
心臓が飛び跳ねて飛び跳ねて。
制御不能だ。
「開けてみて?」
「………」
「彩?」
放心状態のあたしを見て、
ぶんちゃんは呆れた優しい笑いを見せる。
───…シュルッ…。
リボンが外され、箱を開ける。
更に小さな青い巾着袋の中には………
「──彩、受け取って?」
ただただ、涙が出た。
ぶんちゃんが差し出したのは、あたしがずっとずっと憧れていたものだった。
彼女だけが許される小さな贈り物。
【指輪】だ─…。



