──帰り道。
木枯らしが吹く中、
ぶんちゃんと肩を並べて歩く。
「……さっ…むぅ…」
ビュウっと風が返事をして、思わず目を瞑った。
「彩は寒がりだなー。」
「……なっ…」
───フワリ。
……………え?
あまりに突然訪れた感覚に目がパチパチ。
よく見ると─…
首もとには、ふわふわのロングマフラーが。
更にぶんちゃんはロングマフラーをあたしの首にグルグル巻き付け─…
「──あ、ちょっと待ってて。」
そう言って、走って行ってしまった。
………あったかい…。
微かにぶんちゃんの甘い匂いが残るマフラーに、零れた笑みを隠す。
「─…彩、これ。
好きだろ?」
再び戻って来たぶんちゃんの手には、ミルクティーが。
ミルクティー好きってどこで覚えてくれたんだろう?
まさか普段からあたしの好きな物、覚えてくれていたのかな…?
「ありがとう…。」
受け取ると、冷え切った手が温かさと優しさに泣いた。
…マフラーだけでも十分なのに…。
優しいな──…。
「彩、ちょっと買い物したいんだけどいい?」
「うん♪」
心がぽかぽかして幸せ気分になりながら。
二人は手を繋いで、ゆっくり街へと繰り出した。



