DEAR 1st 〜 SEASON〜






走って走り続けて。




─────バタン!!

 


家へと到着するなり、自分の部屋へとこもった。




「彩ー!
ちょっと静かにドア閉めなさいよー!?」




……下からお母さんの声が小さく聞こえる。




でもあたしには聞こえない。



本当言うと、
もう誰からの声も聞きたくなんかない。




悲しくて悲しくて、
どうにかなりそうだ。





──…いや、もう既にどうにかなっていた。





…カッターを手に、
その悲しみをぶつけるかのように手首に刺し込む。




───何度も何度も。





頭に何度も何度も、

ぶんちゃんが。



ぶんちゃんの彼女が。



二人が笑い合う姿が。



朝岡さんからのとどめの声が。




映っては涙に変わる。






苦しかった。


どうしようもなかった。


苦しみをどうやって紛らわせばいいのか。




そんな方法なんか思い付かなかった。




みんなには笑われるし、



きっとこんな方法誰にも理解しては貰えない。




だけどあたしには、


これも1つの方法なの。





……リストカットは。