「──…ありがとう…」
優しいんだね…。
朝岡さんのちょっとした気遣いが優しさに繋がり、嬉しくなる。
ぶんちゃんが部活に現れなかったのは本当に残念だったけど……。
でも、朝岡さんの事いっぱい理解出来たからいっか。
廊下が夕陽に染まり、二人でその中を歩いてそんなことを思っていた矢先。
廊下の先にある下足室に差し掛かった時だった。
─────ドキン─…。
期待していた姿。
その姿を見つける前から心臓は素早く反応した。
…………うそ………
紛れもない、ぶんちゃんの姿。
少しばかり動揺しながらも、あたしはぶんちゃんに近付こうとした。
──…けれど。
見えてしまったんだ。
……ぶんちゃんと彼女が二人で話し込んでいるのが──……。



