辺りは夕刻が近付き、
部活の終了時間も刻々と迫ってきた。
……やっぱり来ないか…。
何も受信する気配がないケータイを見つめては無性に悲しくなる。
せめて来るか来ないかだけでもいいから、一言連絡が欲しかった。
そうしたらこんなにギリギリまで期待せずに済むのに……。
「さぁて。
今日はここまでにしよか♪」
朝岡さんの一声で、みんなは後片付けを始めた。
────…はぁ……。
深い溜め息を吐きながら、あたしはジャージを脱いで制服に着替えた。
着替えが終わると、
みんな各自部室を後にして帰路についていく。
………ふぅ……。
あたしもその波に飲まれるように部室のドアを開く。
───…とそこには…。
「彩、お疲れー。」
「あ……れ……?
朝岡さん?」
朝岡さんがにこにこしながらあたしに近づいてくる。
「家近いから一緒に帰らん?
送ってくで♪」
「…へっ……?」
ぽかんとするあたしに、朝岡さんはますますニッコリ笑って。
「また危ない目遭ったら嫌やからさ。」
………はにかみながら、いかにも照れくさそうにそう言った。



