「でもなーんか元気なさそうやな?」
「……んー。
そーでもないよっ?」
目線を合わせず、
やけに明るくそう答えたからだろうか。
「……ま、よう分からんけど寂しそうやから俺が相手したろ♪」
「えっ!?」
──寂しそう…?
あたしが……?
なんか…。
朝岡さんには本当に心の中を読まれてるんじゃないかと思うんですけど……。
その証拠に、あたしはいつも朝岡さんの透き通った黒い瞳に吸い込まれそうになる。
………っとダメダメ!
話題変えよう!!
「…ねぇ朝岡さん、今日は大学休みなの?」
「うん、そう♪
じゃないとけぇへんよ。」
「あれ…何の大学だっけ?
あたし聞いた事ないよね…?」
「………そーいや言ってないなぁ。
何でしょう?」
…………えーっ。
ここにきてまさかの質問返し?
……うーん?
何だろ……?
朝岡さんって、何か何でもしっくりくるんだよね…。
んー、じゃあ……。
第一印象で………。
「……理数系?」
「違う♪」
「えーっ!じゃあ工学!」
「それも違う♪」
「…経済?」
「違う♪」
……………。
「…う…。
分かんない………。」
お手上げ状態のあたしを見て、くすくす笑う朝岡さん。
笑いながら、こう答えたよね。
「俺が行ってるのは音大やよ。
こう見えて音楽がめちゃくちゃ好きやねん。」



