DEAR 1st 〜 SEASON〜



今日は偶然、朝岡さんが部活に訪れた。


あたしをかばって助けてくれた以来、朝岡さんには初めて会う。




「彩、何でそんな暗い顔してるん?」



「えっ?」



突拍子なく声を掛けてくる朝岡さんに驚き、素っ頓狂な声を上げるあたし。



そんなあたしを見て、朝岡さんは目尻を下げて優しく笑った。




……あ……。



───…傷……

治ってる………。



朝岡さんの顔を見て、
まず気が付いた。



あたしの代わりに殴られた傷。


今はそんな事実があったのか定かではない程、

どこにも傷は見当たらない。




「よかった……。」


「え?」




安堵の声を上げるあたしに、
今度は朝岡さんが不思議そうに返事をする。





「…傷、治ってるなぁって…。」




殴られた朝岡さんを思い出し、少し涙ぐむあたしを見て。




朝岡さんは少し間を空けてから、思い出したように笑顔になった。




「…あぁ、あんなん心配せんでえぇって♪

俺は何ともないから安心しぃや。」





……ポンポン。




そう言って、安心させるかのようにあたしの頭を撫でた朝岡さん。


…その瞬間、優しい気持ちが伝わったかのように、暗い顔から少し笑顔になれた。