今日は偶然、朝岡さんが部活に訪れた。
あたしをかばって助けてくれた以来、朝岡さんには初めて会う。
「彩、何でそんな暗い顔してるん?」
「えっ?」
突拍子なく声を掛けてくる朝岡さんに驚き、素っ頓狂な声を上げるあたし。
そんなあたしを見て、朝岡さんは目尻を下げて優しく笑った。
……あ……。
───…傷……
治ってる………。
朝岡さんの顔を見て、
まず気が付いた。
あたしの代わりに殴られた傷。
今はそんな事実があったのか定かではない程、
どこにも傷は見当たらない。
「よかった……。」
「え?」
安堵の声を上げるあたしに、
今度は朝岡さんが不思議そうに返事をする。
「…傷、治ってるなぁって…。」
殴られた朝岡さんを思い出し、少し涙ぐむあたしを見て。
朝岡さんは少し間を空けてから、思い出したように笑顔になった。
「…あぁ、あんなん心配せんでえぇって♪
俺は何ともないから安心しぃや。」
……ポンポン。
そう言って、安心させるかのようにあたしの頭を撫でた朝岡さん。
…その瞬間、優しい気持ちが伝わったかのように、暗い顔から少し笑顔になれた。



