……ナナに話を聞いて貰ってから数日後。
最近では、すっかり梅雨が明けて空は太陽を取り戻した。
夏の到来だ。
梅雨が明けたからと言って、特に夏に喜びを感じる訳でもないけれど。
相変わらず暑いし蒸すし焼けるし。
…あたしは夏があんまり好きじゃない。
だけど暗い気持ちが梅雨の時より少しだけ明るくなるような気がするから。
それだけがまだ救いかな。
……なんて。
あたしは部室の窓から夏の景色を眺めていた。
─…今日は部活。
部活の時間はあれからあたしにとって複雑極まりなかった。
ぶんちゃんの姿が見たい。
声が聞きたい。
笑顔が見たい。
そばにいれるだけでいい。
そう思っている傍ら、
やはりそれだけでは満足なんか出来なくて。
気持ちを秘めるのが苦しくて悲しい。
そんな二つの正反対な気持ちが混ざり合い、時々どうしたらいいか分からなかった。
──けれど。
「ぶんちゃん、今日は来ないね~。」
チヒロさんの声が部室に響く。
──…そう。
今日はぶんちゃんがいない。
理由は知らない。
……けれど代わりに……。
「まぁまぁ。
今日は俺がぶんの代わりに練習見たるやん♪」
……そう。
夏にピッタリの朝岡さんの明るい声が部屋に響いた。



