何だか不思議過ぎて仕方がない。
今、目の前に起きている出来事が全て夢のよう。
……それ程、現実感がなかった。
「…あ、じゃあオレそろそろ帰るな?」
気が付けば
時計はあっという間に夜7時を示している。
「はい。
今日は本当に色々とありがとうございました。」
お礼を言い、玄関先まで高山さん……
いや、“ぶんちゃん”を見送る。
「気にすんなって。
それより敬語。
まだ直ってないよ?」
「………あ……」
思わず口を塞ぐ。
そんなあたしを見て、高山さんはクスクスと笑った。
「じゃあ、また部活でね。」
「……うん!!」
また敬語を使わないように気を遣いながら、笑顔を添える。
あたしはそのまま、高山さんの背中を見送った。



