DEAR 1st 〜 SEASON〜




「…敬語。
いらないから。」



キョトンとしているあたしを差し置き、高山さんは笑ったままだ。



「……いいんですか…?」


「うん。
それとその“高山さん”ってのもやめない?」



「……へ……」




今度は開いた口が塞がらない。

じゃあ何て呼べばいいの─…?




「みんなが呼んでるように呼んでいいから。」



……って事は……?



「“ぶんちゃん”…?」



「うん。
じゃあ俺も“桜井さん”ってやめていい?」



「…え……」




「“彩”って。」





─────…っ。




不覚にも、名前を呼ばれただけで胸が浮いてしまった。