………本当は。
胸の中で暗雲が渦を巻いている。
彼女がいるのにお揃いって、どういう事…?
喜んでいいのか悪いのか分からない。
その無邪気な笑顔の裏に隠れている本当の気持ちを知りたい。
どうしてお見舞いになんか来るの?
どうしてお揃いにしようなんて言い出すの?
何の為にピアスをくれるの?
あたしが彼女の存在を知らないからって、何をしてもいいの?
──…分からないよ…。
……でも、そうか…。
あたしは『恋愛対象外』って事か…。
胃がひどく落ち込んでいく。
こんなの、高山さんが来てくれた意味がないじゃない……。
そんな風に考えたくないのに…。
「桜井さん?」
「あっ、はい!?」
どうやら、
ずっと話しかけてくれていたらしい。
けれど…
すぐには複雑な気持ちを拭えずに、高山さんを見上げた。



