ふと高山さんと目が合った。
制服姿の、学校帰りの高山さん。
未だに、自分の部屋に高山さんが存在しているなんて信じられない。
「───…大丈夫?」
そう言われて。
急激に視界が淀んだ。
気づけば、ポロポロと涙が頬を流れる。
「…ごめんなさい─…」
最近、自分でも涙腺のコントロールが効かない。
高山さんの前では笑っていたかったのに。
こんなボロボロの顔で涙なんて、余計に自分が惨めに感じてしまう。
「何があったの?」
「………」
「黙ってちゃ、何にも分からないよ…」
さっきより1トーン低くなる声。
「……あの…」
「ん?」
「…彼氏……と別れたんです──…」
──…やっと出た声。
けれど、短くそう告げるのが精一杯だった。



