あの子の成績表

「心配せんでもええよ。ロープには滑車がついとるから、少しは軽くなってるから」
滑車については学校の理科で習いました。
滑車をうまく使えば半分の力で物を持ち上げることができることも、知っています。

「作業は明日の朝から開始する。準備しておくように」
女性はそれだけ言うとさっさと部屋を出ていってしまいました。

ここの関係者であれば穂波のことを知っているかもしれないと思ったのですが、それを質問できる雰囲気ではありませんでした。
女性が出ていった後に緊張が解けて大きく息を吐くと、佳苗ちゃんが真剣な表情でこちらを見つめてきました。

「あの人たちには人探しのためにここに来たとか、言うたらあかんで?」
「え、どうして?」
「そんなん聞いても教えてくれるわけないやん。あの人ら、子供を利用してるんやから。わざとここに入り込んできた子がおるってバレたら、なにされるかわからんで?」

脅しのようなことを言われて少しだけ決意が揺らいでしまいました。
私はまださっきの女性にとしか会ったことがないけれど、もしかしたらここにはとても怖い大人が沢山いるんじゃないでしょうか。

とにかく、ここでは佳苗ちゃんが先輩です。
先輩のいうことは聞いておくのが一番ですから、私はうんうんと、何度も頷いておきました。