あの子の成績表

そんな空想ができそうな可愛らしい家から出てきたのは、背の高い男の人でした。
スラリとした手足に綺麗に整えられた髪型を見て少しとまどってしまいます。
この人は穂波のお父さんだと思うのですが、あまりにも自分のお父さんと違っていたからです。

私のお父さんのお腹はもっと前に突き出していて、いつもタバコの臭いがしています。
「こんにちは、○○小学校の藤井です。こっちは久保田」

正樹に紹介されて私は慌てて頭を下げた。
玄関の奥から涼しい空気が流れてきて、少しだけホッとしました。
「あぁ、もしかして穂波の……?」

穂波のお父さんがそう聞いてきたときでした。
廊下の奥に見えていたドアが開いて、今度は女性が出てきました。
白いエプロンは汚れていて、髪の毛はひとつにくくっているものの乱れています。

その人はスリッパもはかずにペタペタと足音を立てて近づいてくると、青白い顔で私と正樹を見ました。
「あなたたち、穂波の友達!?」

その声はまるで魔女のようにしわがれていて、驚いて後ずさりをしてしまいました。
正樹の背中に回り込み、服の裾をつかみました。
「そうです。穂波は元気ですか?」