あの子の成績表

だけど私達は大輔くんがどんな生徒だったのか知らないので、なぜこの評価がついたのかわかりません。
「おば……お母さん。どうしてここが1になってるんだと思う?」
正樹がたどたどしく質問します。

すると大輔くんのお母さんは一瞬悲しそうな顔をして「友達をイジメていたのよ。忘れちゃった?」と、聞いてきました。
「イジメ?」

「そうよ、だけどあれは相手の子が悪かったの。最初に大輔の靴を隠したり、ハンカチを盗んだりしたんだから」
思い出すのも嫌だという様子で顔をしかめていました。
お母さんとしては思い出したくないことが、小学校3年生の頃にはあったみたいです。

でも、イジメを受けてやり返すときは、同じようにイジメてはいけない。
話し合いとか、大人の人を真ん中に挟まなきゃいけないと先生に言われたことがあるので、大輔くんのやり方も間違えていたんだと思います。

だから、成績表に1がついてしまったんです。
それから4年生の頃の成績表になると、お母さんの顔が曇ってきて口数も少なくなってきました。