あの子の成績表

しばらく待っていると真っ白なタオルを持った大輔のお母さんが戻ってきました。
私達は玄関先でそれを受け取り、丁寧に体を拭いていきました。
その間大輔くんのお母さんは廊下に座り、ニコニコと笑顔をこちらへ向けていました。

優しい人だな。
最初はそう思ったんですけれど、なにか違うかなとすぐに感づきました。
大輔くんのお母さんはずっとこちらを見て笑っているだけなんです。
さっきのように話をするわけでもなく、どうしてここへ来たのか質問するのでもなく。

普通、急な来客があれば何の御用ですか? って質問をしますよね?
だけどなにも言わずに笑っているだけなんです。

なんとなく気味が悪いなと思ったんですけど、正樹は気がついていないみたいでした。
好みのタイプだったからだと思います。
「タオル、ありがとうございます」

正樹がそう言ってタオルを差し出すと、大輔くんのお母さんはそれを丁寧に受け取りました。
そして立ち上がると「さぁ、上がって、お風呂もできているわよ大輔」と言ったのです。