あの子の成績表

お母さんは『夏は雲の上にいる天気の神様が元気になる季節なのよ。だから晴れてみたり、雨を振らせてみたり、雷を落としてみたり、忙しいの』と、教えてくれました。

もちろん今ではそんなことはないとわかっていますけれど、まだしょっと信じている部分はあります。
だって、そう考えたほうが愉快になれるから。

このときも私は雲の上にいる神様が喜んでいる様子を思い浮かべていました。
そうすることで少しだけ気分が晴れてきました。
「小ぶりになったな。行ってみるか」
なんと。

私の心が少し晴れた時、空も少し晴れ間が覗いてきたのです。
この偶然を偶然で終わらせることはもったいなくて、私は自分の気持ちが神様に通じたのだと思うことにしました。

それからふたりで玄関へ向かい、まずは表札を確認しました。
日吉大輔くんの家のように荒れた様子はありませんでしたけれど、もし別の人の家になっていたら迷惑をかけてしまうからです。

玄関先の表札にはちゃんと『吉岡』という名前が出ていてひとまず安心です。
雨に濡れながらここまでやってきたかいがありました。
私はハンカチを取り出して服の水滴を拭き取りました。