あの子の成績表

庭には踏み入らずに家の雰囲気でそう言いました。
窓の奥にはカーテンがかけられていましたが、誰かが暮らしていればこの庭の草は放置されていないはずです。

日吉くんの両親がいれば話を聞くことができると思っていたから、落胆は大きかったです。
ぼーっと空き家の前に佇んでいるわけにもいかないので帰ろうとした、その時でした。

「どうかしたの?」
田んぼに出てきた60代くらいの女性がそう声をかけてくれました。
いかにも農作業ができそうな格好をしたその人が近づいてきたので「あの、この家の人を知りませんか?」と、正樹が質問しました。

すると女性は目を細めて「前は日吉さんって家族が3人で暮らしていたよ。だけど1年くらい前に引っ越して空き家になってるの」と、教えてくれた。

神田くんの情報は正しかったんです。
「その人達が今どこにいるのか知りませんか?」
私が質問すると女性は左右に首を振って「わからないわ。ご近所に挨拶もなく出ていったみたいで……」そういった女性が不意に視線を下げました。