あの子の成績表

それから校舎内へ入って、最初に6年A組に行きました。
そこが私と正樹と穂波の教室です。
階段を上がって3階まで行き、一番手前の教室です。

だけどそこには鍵がかけられて中に入ることはできませんでした。
それに誰もいない校舎内は窓が締め切られていてムッとします。
ジワジワと流れてくる汗を手の甲でぬぐって、今度は職員室へと向かいました。

そこには夏休み中にも交代で出勤してきている先生がいるのです。
なぜなら、グラウンドを開放しているから。
それに、中庭にはうさぎを3羽飼っているので、お世話が必要です。

今日は誰が来ているんだろうと思いながら職員室のドアに近づいて3回ノックしました。
出てきてくれたのは私達の担任の先生でした。

授業があるときにはもう少し険しい表情をしている先生ですが、この時は目が細められて穏やかな雰囲気がありました。
「あら、どうしたの? 遊びにきたの?」

私と正樹を見た先生はすぐに笑顔になって、自愛のある声色で質問してきます。
そんな先生を見て一瞬穂波のことを聞くのはやめようかと思ってしまいました。
せっかく優しい先生の笑顔が崩れてしまうかもしれないと思ったからです。

でも、穂波のことをきかないと学校にきた意味がありません。
勇気を出して質問するとにしました。
「穂波はどこに行ったんですか?」

私の質問にさっきまで下がっていた先生の目尻が鋭く上がって、やっぱり聞くんじゃなかったとすぐに後悔しました。