あの子の成績表

「これが、私達に与えられる食べ物なんだよ。果物とか野菜だけど、全部腐ってる」
「嘘でしょ……」
「水も、ペットボトルの底に方に少しだけ残っているものが投げ入れられるだけ。喉が乾いてどうしようもないときは、腐ったものの汁も飲むの」

それは人間の扱いではありませんでした。
私がしている労働もかなり過酷なものでしたけれど、ここには想像を絶する世界があったんです。
「私達は使い物にならないから、後は死ぬのを待つだけなの」

「そんな……! 使い物にならないから、家に返してあげればいいのに!」
だけど穂波は左右に首を振ります。
そんなことが叶うような場所ではないと、私ももうわかっていました。

大きな病気やケガをすれば、後は死を待つだけになる。
そんな部屋に連れてこられても穂波は必死に生きてきたんです。
生きる気力は十分にあると感じました。

「穂波、とにかくここを出よう」
「でも外には先生がいる」
「今なら平気。早く!」
私は穂波の手を掴み、また人と人の間を縫うようにして部屋を出たのでした。