〇学校、教室HR、文化祭準備中
【桐山「付き合ってないけど」】
【あれから私はというと、今まで通り過ごせている】
静香「(桐山君が否定してくれたおかげだよね…)」
にぎやかな教室の中で衣装の作業をしながら、ちらっと桐山の方を見る静香

静香「(なんだろう……た…い…う…い?)」
桐山が静香の視線に気づいて、口パクで何か言ってくるのを見る静香

静香「(だいすき⁉)」
思い当たる言葉にぼふっとなる静香、周りの女生徒たちがどうした⁉と反応してる
くくくっと笑ってる桐山が男友達Aに「何笑ってんだよ」と茶化されてる
「なんでもねー」と話す桐山を、同じく作業をしてる女生徒Aがいぶかしげに見ている

〇学校、人気のないところ、校舎裏か中庭
静香「ああいうのやめて!」
桐山「ああいうのって?」
スッとボケる桐山

静香「さっきの。恥ずかしいから!だいす…‼」
言わされそうになってることに気づいて口元を手でばふっと止める静香、残念そうな桐山

桐山「だいすき?」
静香「……っな⁉なにすふのっ?」
ぴっかーとした笑顔の桐山が、静香の顔を両手で包み込む
キスされる⁉みたいな距離に心臓が走る静香(自分の口を手で閉ざしたままでキスされそうだから外せない)

桐山「え?キス」
静香「⁉」
桐山「人気のないところに呼び出すから、愛の告白かと思って」
静香「ちっ……」
キスされそうなくらい近づく静香と桐山の距離

静香「ちがーう!」
びりびりっと桐山をはがす静香
ああ残念みたいな感じでひらっとはがされる静香

桐山「じゃあ告白の返事?」
静香「そうじゃなくて…。お礼言いたくて」
桐山「え」
赤くなる静香が、言いにくそうに話し出す

静香「この前はありがとう。その…助けてくれて」
【所詮都合のいい時だけ、のし上げられる私の言葉は誰も信じない】
【かといって、空気が悪くならないようにもできなかった】
桐山「……」
助けられたくなかったけど…という気持ちもあるけど感謝の気持ちが見える静香
静香の微妙な気持ちに気づく桐山

桐山「うーーんお礼だけじゃちょっとなぁ」
桐山「そーだ。今週土曜、俺に付き合ってよ」
静香「はい?」

〇映画館 私服姿の静香と桐山、
【土曜日】
桐山「いやー新作見たかったんだよね」
静香「そうなんだ…」
静香「(なんでこうなるの⁉)」
映画館の中でうきうきの桐山について行ってる静香

桐山「これで貸し借り0になるじゃん?」
静香「(あ……私のために?)」
静香の言いたいことを察知して先に笑顔で答える桐山

静香「(っていうかコレデートだよね?)」
【男の子と遊びに行くのなんて初めて】
前の日から行く直前まで着ていく服に悩みまくる静香
自分と桐山の服を見てとくんと胸打つ静香

静香「な、何見るの?」
疑問そうな静香に桐山映画の看板を指さして笑顔を見せる
看板を見ると「ホラー映画」となりに「アドベンチャーファンタジー」のタイトル

静香「新作って?」
桐山「ホラー映画。苦手なら別のにする」
静香「(苦手…だけど)」
むぐぐと心の中で思いながら、ちらっと桐山を見る静香

静香「(楽しみにしてたんだよね)」
わくわくしてる桐山をみて思う静香

静香「大丈夫!全然平気!」
the八方美人笑顔で笑って見せると、桐山が「…」な顔

桐山「……やっぱりこっちにしよっかな」
「アドベンチャーファンタジー」看板を指さす桐山

静香「え、でも」
桐山「苦手なんでしょ?バレてるって」
桐山「俺の前で気使わなくていいから」
もー森崎はー、とクシャっとした桐山の笑顔

〇映画館 シアター内
静香「(桐山君は優しい)」
静香「(今日はお礼の日なのに。私の方がいい思いしてるじゃん)」
隣り合って座る桐山と静香

〇映画館 シアターから出てくるところ
静香「すっ…ごい面白かったね」
桐山「森崎めっちゃ感動してたな」
静香「涙あり笑いありスペクタクル超大作だった…」
キラキラ感動興奮の静香

静香「って私が楽しんで、ごめん」
桐山「なんで謝んの?」
桐山に気づいて我に返る

静香「だってホラー見たかったのに変えてもらったし…」
桐山「ああ」
面白かった半面申し訳なさが募ってくる静香、なんともおもってない桐山

桐山「いいよ。俺は森崎といれるだけで嬉しいし」
さらと頭ぽんしてくる桐山

静香「だからっなんで…っ」
また好き発言にポンポン照れる静香

桐山「だって好きもん」
片手で静香の手にキスして、片手をポケットに入れたまま話す桐山

静香「……でも、私は別に桐山君のこと…」
【そうだ、ちゃんと断らなきゃ】
断ろうとする静香

【甘えちゃいけないーー…】
桐山「俺のこと好きじゃなくていいよ」
軽く言い始める桐山

【だって甘えたら】
桐山「森崎はイヤかもしんないけど」
いつになく殊勝な桐山に、断れなくなる静香

【もう1人で立てない気がするーー】
桐山「力になりたいし、困ってることがあるなら助けたい」
真剣な桐山の言葉にふるっと震えそうな瞳の静香(受け入れたら自分が壊れる気がする)

【そんな言い方、ずるい】
桐山「邪魔しないから。そばにいさせてくんないかな」
手を握ったまま真剣な瞳の桐山