〇放課後、教室、窓際、後ろ側の席、
【俺と付き合ってよ】
静香「あれ……」
カーテンからほどかれる静香、にんまり顔の桐山
静香「冗談じゃなかったんだ」
桐山「冗談で俺が告ると思ってんの?ひど~」
本音で間違いじゃなかったのかと思う静香に、ひどっと反応する桐山
静香「だって…!好きになってもらう理由なくない?」
ごめっと謝る態度で、考えてシンプルに思う静香
桐山「俺は結構森崎のこと見てるんだけど」
桐山「わかんなかった?」
甘い感じで顔に手を近づけながら、顔を机に乗せて静香に聞く桐山
静香「わかんないわよ」
静香「(だってクラスの委員長だし。目立つ立場だし。みんなに見られて当たり前だし)」
ときめかず素で目立って当たり前だしの恋愛感情0の静香にウケる桐山
静香「(っていうかさっき『弱み見せたくないんでしょ?』って言った…)」
桐山「もりさ…」
女子生徒「委員長~!家庭科室の方来てくれる?」
男子生徒「きり、いつまでサボってんだよ」
桐山「あーごめんごめん」
遺憾に思う静香に桐山が話しかけようとすると男女生徒に話しかけられそれぞれ別方向へ歩いていく
静香「(……どうして私を?)」
女子生徒と歩きながら、活発に話してる男子生徒と桐山を横目に見る静香
気づいた桐山がすごく甘い笑顔で見てきて、つられて紅潮してしまう静香
女子生徒「委員長?どしたの?風邪ひいた?」
静香「……ごめん。なんにもない」
静香「(きっと勘違いだ)」
静香「(強がりの女なんて可愛いいわけないじゃない)」
女子生徒に声かけられ、気を取り直して、赤面を落ち着かせようと歩いていく静香の後ろ姿
〇時間経過、とっぷり夕方、昇降口
静香「やっと終わった……」
静香「手書き+矢印(あんまり大勢が遅くなると怒られるから片付けを引き受けて先に返した人)」
どんより疲れた顔で上靴を取ろうとする静香
静香「なにこれ」
下駄箱上靴の上に置いてる小さな紙に気づく
【おつかれさま きり】
静香「(桐山くん……?)」
桐山の手書きの文字で書いてあって、心温かくなる静香
桐山「ラブレターかと思った?」
後ろから話しかける桐山にびくぅ!と驚く静香
静香「い、いたの…⁉」
桐山「森崎いつも鍵閉めまで引き受けて、一番最後に帰るから」
桐山「終わるまで待ってた」
静香「知ってたの?」
静香の問いかけに笑顔で返事する桐山
静香「(ほんとに私のこと見てるんだ…って違くて)」
へーと感心すると同時に、ぼっと赤くなる静香
桐山「一緒に帰ろ」
静香「えっいいよ。1人で帰れるから」
桐山「でももう暗いし」
静香「大丈夫大丈夫!待っててくれてありがとね!じゃあ私はこれで」
桐山「ダメだって」
ササッと逃げようとした静香の手を握って止める桐山
桐山「危ないから」
静香「(そんな言い方ーーずるい)」
手を握られたまま見つめられてる静香は言い返せなくなる
〇帰り道、夕方~暗め
静香「あのさ」
桐山「ん?」
静香「手…握らなくてよくない…⁉」
桐山「だって森崎逃げそうだし」
静香「(桐山くんの方が危険なんですけど)」
桐山が静香のとなりで手を握って歩いてる
桐山「大丈夫」
桐山「ちゃんとクラスの奴いたら手放すから」
静香「(そういう問題じゃないんだけど……)」
【帰りまで待っててくれたの】
【桐山くんがはじめてだな……】
夕暮れの中帰りながら繋がれた手を熱く思い、今まで「任せて」と言いつつも
「ありがとー!」「よろしく」と言われてた自分に寂しさを少し感じてたとわかる静香
生徒「あれって、きりと委員長じゃね?」
そんな桐山、静香を見てる買い食いしてるモブ生徒
〇翌日、学校、朝、昇降口〇
静香「(結局、家の近くまで送ってもらっちゃった)」
静香「(ずっと……手、握ってたな)」
登校し自分のげた箱から上靴を取り、教室へと向かう静香が自分の手を見る
桐山「おはよ」
静香「お、おはよう」
桐山「手になんかついてんの?」
静香「べ、別に」
桐山に言われてはっと手を隠すような静香に、無言で何かを企む桐山
桐山「昨日のこと思いだしてくれてんの?」
静香の耳元でこそっと話す桐山
静香「~~~~~~っっっ⁉」
がばっと耳に手を当てて、声にならない声で赤面し桐山を見る静香
桐山「図星だ」
その反応を見てぷはっと笑い喜ぶ桐山
静香「ちがうっ!そんなんじゃないから!」
桐山「はいはーい」
生徒たち「おめでとーう!」
静香・桐山「?」
言い合いしながら教室のドアをガラッと開けると、生徒たちの声が重なる
静香「おめでとうって……なにが?」
桐山「?」
祝福モードの教室に「?」の桐山と静香
生徒「えっ?2人って付き合ってんだろ?」
静香「⁉」
生徒「昨日見ちゃってさ~俺ら知らなかったわー」
男友達A「きりぃ、俺ら親友だよな⁉教えてくれよぉっ」
桐山「あーーみんな暴走しすぎ」
静香「(早く訂正しなくちゃ!)」
生徒たちのわいわいぼのぼの雰囲気に、動揺するしずか
男友達Aが桐山に向かって涙をぬぐってるのを淡々としてる桐山
静香「あの…」
女生徒A「っていうかがっかりかも」
訂正しようとした静香が止まる
女生徒「付き合ってるなら早く言って欲しかった」
女生徒「実行委員引き受けたのも、もしかして彼氏との思い出作り?」
男生徒「あーだからきり、はりきってたのか」
男友達「くはーラブラブだなw」
静香「ちがうよ。そうじゃなくて」
【どうして】
女生徒A「いーって委員長。気を使わなくて」
【いつも頑張ってきたのに】
女生徒A「委員長ならクラスのために盛り上げてくれるって思ったのに」
【こんなことで今までのこと】
女生徒A「なんかショック―」
【全部ひっくり返っちゃうの?】
皆の声と視線が怖くなる静香だけど、ぐっとこらえる
静香「だから勘違いだって。もう恥ずかしいなー」
静香「手書き(ねっ桐山君)」
桐山「うん」
桐山「(圧を感じる)」
何でもないように取り繕う静香
静香の圧を感じる桐山はとりあえず同意)
女生徒A「そうやって隠すのが怪しいんじゃん」
女生徒A「委員長は桐山くんのこと、何とも思ってないんだよね?」
静香「それはもちろ…」
いつも通り作り笑顔でさらっと言おうとして、桐山の顔をみて固まる静香
桐山は止まってる
静香「(……昨日までの気持ち、勝手になかったことにしていいの?)」
静香「(好きって言ってくれたの、嘘じゃないのに)」
女生徒A「ほら、怪しいじゃん!」
生徒「もうやめろって」「でも意外なカップルだよなー」と生徒たちのヤジが飛びつつ、言葉が出ない静香
静香「(どうすればいいかわからない)」
【だって、ずっと自分のことだけ考えてればよかったからー…】
訂正したい、助けてと言いたい、でも言えない静香
桐山「付き合ってないよ」
桐山がすっとちゃんと発言する
静香も女生徒Aも止まる
桐山「っていうか森崎は、俺と違っていつもクラスのために頑張ってるよな?」
和やかな言い方と笑顔で、クラスがどっと沸く
女生徒A「そ、それはそうだけど…」
生徒「そうだよな」「委員長すごいよね」「なんだー勘違いか―」「騒ぎすぎてごめん」「だってもしかしてって思ってぇー!」
桐山に納得してほだされる女生徒Aとわいわいする生徒たち
言わなくてよくなったとほっとしてしまう静香
桐山「そういえば先生呼んでた。行ってくれば」
静香「う、うん」
教室から出ていく静香
〇学校、廊下〇
静香「(また……助けられた)」
【桐山君の方がすごいのに】
【どうして私にそこまでするの?】
教室から離れたかどでしゃがみ込みそうな中腰でじんわり胸を掴んで悔しい嬉しい気持ちの静香
〇学校、教室、廊下と同時刻〇
女生徒A「さっきはごめんね。ついムキになっちゃって」
桐山「別にいいよ」
つつつ…と申し訳照れそうに桐山に寄ってこそっと話す女生徒A
桐山「あ、でも」
ほっとする女生徒A
桐山「俺、森崎落としてるところだから邪魔しないでよね」
言った後に、じゃ、と去っていく桐山
女生徒A「桐山くんが…委員長を?」
女生徒Aの表情が不穏な物へと変わる
【俺と付き合ってよ】
静香「あれ……」
カーテンからほどかれる静香、にんまり顔の桐山
静香「冗談じゃなかったんだ」
桐山「冗談で俺が告ると思ってんの?ひど~」
本音で間違いじゃなかったのかと思う静香に、ひどっと反応する桐山
静香「だって…!好きになってもらう理由なくない?」
ごめっと謝る態度で、考えてシンプルに思う静香
桐山「俺は結構森崎のこと見てるんだけど」
桐山「わかんなかった?」
甘い感じで顔に手を近づけながら、顔を机に乗せて静香に聞く桐山
静香「わかんないわよ」
静香「(だってクラスの委員長だし。目立つ立場だし。みんなに見られて当たり前だし)」
ときめかず素で目立って当たり前だしの恋愛感情0の静香にウケる桐山
静香「(っていうかさっき『弱み見せたくないんでしょ?』って言った…)」
桐山「もりさ…」
女子生徒「委員長~!家庭科室の方来てくれる?」
男子生徒「きり、いつまでサボってんだよ」
桐山「あーごめんごめん」
遺憾に思う静香に桐山が話しかけようとすると男女生徒に話しかけられそれぞれ別方向へ歩いていく
静香「(……どうして私を?)」
女子生徒と歩きながら、活発に話してる男子生徒と桐山を横目に見る静香
気づいた桐山がすごく甘い笑顔で見てきて、つられて紅潮してしまう静香
女子生徒「委員長?どしたの?風邪ひいた?」
静香「……ごめん。なんにもない」
静香「(きっと勘違いだ)」
静香「(強がりの女なんて可愛いいわけないじゃない)」
女子生徒に声かけられ、気を取り直して、赤面を落ち着かせようと歩いていく静香の後ろ姿
〇時間経過、とっぷり夕方、昇降口
静香「やっと終わった……」
静香「手書き+矢印(あんまり大勢が遅くなると怒られるから片付けを引き受けて先に返した人)」
どんより疲れた顔で上靴を取ろうとする静香
静香「なにこれ」
下駄箱上靴の上に置いてる小さな紙に気づく
【おつかれさま きり】
静香「(桐山くん……?)」
桐山の手書きの文字で書いてあって、心温かくなる静香
桐山「ラブレターかと思った?」
後ろから話しかける桐山にびくぅ!と驚く静香
静香「い、いたの…⁉」
桐山「森崎いつも鍵閉めまで引き受けて、一番最後に帰るから」
桐山「終わるまで待ってた」
静香「知ってたの?」
静香の問いかけに笑顔で返事する桐山
静香「(ほんとに私のこと見てるんだ…って違くて)」
へーと感心すると同時に、ぼっと赤くなる静香
桐山「一緒に帰ろ」
静香「えっいいよ。1人で帰れるから」
桐山「でももう暗いし」
静香「大丈夫大丈夫!待っててくれてありがとね!じゃあ私はこれで」
桐山「ダメだって」
ササッと逃げようとした静香の手を握って止める桐山
桐山「危ないから」
静香「(そんな言い方ーーずるい)」
手を握られたまま見つめられてる静香は言い返せなくなる
〇帰り道、夕方~暗め
静香「あのさ」
桐山「ん?」
静香「手…握らなくてよくない…⁉」
桐山「だって森崎逃げそうだし」
静香「(桐山くんの方が危険なんですけど)」
桐山が静香のとなりで手を握って歩いてる
桐山「大丈夫」
桐山「ちゃんとクラスの奴いたら手放すから」
静香「(そういう問題じゃないんだけど……)」
【帰りまで待っててくれたの】
【桐山くんがはじめてだな……】
夕暮れの中帰りながら繋がれた手を熱く思い、今まで「任せて」と言いつつも
「ありがとー!」「よろしく」と言われてた自分に寂しさを少し感じてたとわかる静香
生徒「あれって、きりと委員長じゃね?」
そんな桐山、静香を見てる買い食いしてるモブ生徒
〇翌日、学校、朝、昇降口〇
静香「(結局、家の近くまで送ってもらっちゃった)」
静香「(ずっと……手、握ってたな)」
登校し自分のげた箱から上靴を取り、教室へと向かう静香が自分の手を見る
桐山「おはよ」
静香「お、おはよう」
桐山「手になんかついてんの?」
静香「べ、別に」
桐山に言われてはっと手を隠すような静香に、無言で何かを企む桐山
桐山「昨日のこと思いだしてくれてんの?」
静香の耳元でこそっと話す桐山
静香「~~~~~~っっっ⁉」
がばっと耳に手を当てて、声にならない声で赤面し桐山を見る静香
桐山「図星だ」
その反応を見てぷはっと笑い喜ぶ桐山
静香「ちがうっ!そんなんじゃないから!」
桐山「はいはーい」
生徒たち「おめでとーう!」
静香・桐山「?」
言い合いしながら教室のドアをガラッと開けると、生徒たちの声が重なる
静香「おめでとうって……なにが?」
桐山「?」
祝福モードの教室に「?」の桐山と静香
生徒「えっ?2人って付き合ってんだろ?」
静香「⁉」
生徒「昨日見ちゃってさ~俺ら知らなかったわー」
男友達A「きりぃ、俺ら親友だよな⁉教えてくれよぉっ」
桐山「あーーみんな暴走しすぎ」
静香「(早く訂正しなくちゃ!)」
生徒たちのわいわいぼのぼの雰囲気に、動揺するしずか
男友達Aが桐山に向かって涙をぬぐってるのを淡々としてる桐山
静香「あの…」
女生徒A「っていうかがっかりかも」
訂正しようとした静香が止まる
女生徒「付き合ってるなら早く言って欲しかった」
女生徒「実行委員引き受けたのも、もしかして彼氏との思い出作り?」
男生徒「あーだからきり、はりきってたのか」
男友達「くはーラブラブだなw」
静香「ちがうよ。そうじゃなくて」
【どうして】
女生徒A「いーって委員長。気を使わなくて」
【いつも頑張ってきたのに】
女生徒A「委員長ならクラスのために盛り上げてくれるって思ったのに」
【こんなことで今までのこと】
女生徒A「なんかショック―」
【全部ひっくり返っちゃうの?】
皆の声と視線が怖くなる静香だけど、ぐっとこらえる
静香「だから勘違いだって。もう恥ずかしいなー」
静香「手書き(ねっ桐山君)」
桐山「うん」
桐山「(圧を感じる)」
何でもないように取り繕う静香
静香の圧を感じる桐山はとりあえず同意)
女生徒A「そうやって隠すのが怪しいんじゃん」
女生徒A「委員長は桐山くんのこと、何とも思ってないんだよね?」
静香「それはもちろ…」
いつも通り作り笑顔でさらっと言おうとして、桐山の顔をみて固まる静香
桐山は止まってる
静香「(……昨日までの気持ち、勝手になかったことにしていいの?)」
静香「(好きって言ってくれたの、嘘じゃないのに)」
女生徒A「ほら、怪しいじゃん!」
生徒「もうやめろって」「でも意外なカップルだよなー」と生徒たちのヤジが飛びつつ、言葉が出ない静香
静香「(どうすればいいかわからない)」
【だって、ずっと自分のことだけ考えてればよかったからー…】
訂正したい、助けてと言いたい、でも言えない静香
桐山「付き合ってないよ」
桐山がすっとちゃんと発言する
静香も女生徒Aも止まる
桐山「っていうか森崎は、俺と違っていつもクラスのために頑張ってるよな?」
和やかな言い方と笑顔で、クラスがどっと沸く
女生徒A「そ、それはそうだけど…」
生徒「そうだよな」「委員長すごいよね」「なんだー勘違いか―」「騒ぎすぎてごめん」「だってもしかしてって思ってぇー!」
桐山に納得してほだされる女生徒Aとわいわいする生徒たち
言わなくてよくなったとほっとしてしまう静香
桐山「そういえば先生呼んでた。行ってくれば」
静香「う、うん」
教室から出ていく静香
〇学校、廊下〇
静香「(また……助けられた)」
【桐山君の方がすごいのに】
【どうして私にそこまでするの?】
教室から離れたかどでしゃがみ込みそうな中腰でじんわり胸を掴んで悔しい嬉しい気持ちの静香
〇学校、教室、廊下と同時刻〇
女生徒A「さっきはごめんね。ついムキになっちゃって」
桐山「別にいいよ」
つつつ…と申し訳照れそうに桐山に寄ってこそっと話す女生徒A
桐山「あ、でも」
ほっとする女生徒A
桐山「俺、森崎落としてるところだから邪魔しないでよね」
言った後に、じゃ、と去っていく桐山
女生徒A「桐山くんが…委員長を?」
女生徒Aの表情が不穏な物へと変わる
