ハロウィンの悪魔




日が落ちて帰る頃には、辛くて堪らなかった。


「今日はありがとな」


込み上げてくる涙を悟らせないよう必死で笑顔を取り繕った。


「こちらこそ。…じゃあ、元気で」


そう言って頭を下げ、背中を向けようとした。

ふわりと優しいシトラスの香りが身を包み、直ぐに抱きしめられているのだと理解した。


お互い何も言わないまま時が過ぎ、どちらともなく離れた。


そして言葉を交わすことなくその場を後にした。




何か言ってしまえば、必死で堪えているものが溢れ出てしまいそうだったから。