ハロウィンの悪魔





「ちょっ…」
「もう少しこのままがいい…」


どこか寂しさを含んだ声色にぎゅうぎゅうと胸が締め付けられる。

言わなければ。もう本当に最後にしなければと。


昨日はただ気分が良くて、雰囲気に流されてしまっただけだと。


それだというのに直接触れ合う体温があまりに心地よくて、押し返したいのに体がいう事をきかない。


ーーずっとこのままでいたい


そう思った瞬間、部屋のどこかに放置していたスマホの音が鳴り響く。

我に返って勢いよく体を起こした。



「…電話か?」
「いえ、アラームです…チェックアウトに合わせてセットしてて」


ホテルに着いてすぐにセットしたことをすっかり忘れていた。

それからすぐにベッドから降り服をかき集めて寝室を出た。

スイートルームだけあってありがたい事に部屋数が栞の予約していた部屋より多く、界斗の目の届かない場所で急いで服を身につけた。

昨日と同じ服だがジャケットで隠してしまえばいいだろう、気を紛らわそうとそんな全く関係のない事を考えながら支度を済ませ、声を掛けようと戻れば仕立てのいいスーツを着た界斗が立っていた。