ハロウィンの悪魔





「たった一晩寝ただけの女にそこまで言うなんて、どうかしてるんじゃないですか?」


これ以上目を見てはいけない、そう思って視線を逸らしながら冷たくそう吐けば「そうかもな」と同意の言葉が返ってくる。


「まるで悪魔にでも取り憑かれた気分だよ」
「……それって褒めてます?」
「事実だろ。これだけ人のこと堕としておいてこうもすげなく扱われるんだから」
「別に私何もしてなくないですか?」
「しただろ。人の童貞奪っておいて」
「ブフッ!」


衝撃の事実に思い切り咽せてしまった。
ギリギリ口から出さなかった事を褒めて欲しい。

えずく栞に大丈夫か、と界斗はしれっとした顔でハンカチを手渡してくる。


それを受け取り口元に当てながら、咳き込み過ぎて涙目になった目を向ける。


「ううう、嘘でしょ!?」
「本当だ。あともう少しで魔法使いになれてたぞ」
「ちょ、追い打ちかけるのやめて…ていうかその顔で…み、未経験なんて…」
「高校まで男子校だったからな。今まで気になる女も居なかったから必然的にそうなった」
「えええ…」


これはますます不味い。


誰もが憧れるハイスペックイケメンエリートの初めてをよりにもよって自分のような冴えない女が奪うなんて、誰に恨まれたって仕方ない。文字通り万死に値する。