ハロウィンの悪魔





日曜日の午前11時、遥香の指定してきた店に入れば先に着いていた友人が小さく手を振った。


「しーちゃん、これお土産ね!」


今日も今日とて親友は可愛い。

お礼を言いながら土産を受け取り旅行はどうだったかと聞けば、案の定キラキラとした目で語り出す。


「楽しかったよー!マリンスポーツ全部制覇しちゃった。知ってる?葉くんってああ見えてちゃんと鍛えてて身体ムキムキなんだよ。ギャップ萌えじゃない?」


興奮して話す遥香の話を右から左へ聞き流しながら、栞は遥香の夫の顔を思い浮かべる。

素朴な顔立ちだが品があり、背は自分より少し高いくらいだったと思う。
180はある界斗と並んでいると華奢に見えたが、あの顔で服の中にしっかりと筋肉が付いているのかと思えば確かにギャップ萌えだ。


ひたすらに旅行の楽しさと夫の素晴らしさについて語る遥香の話を一通り聞き終えた後、注文したランチも食べ終えたところで「あ、それとね」と漸く話題変更の兆しが見えた。

そうして遥香が鞄から取り出したのは一枚の封筒だった。