ハロウィンの悪魔





約束をしたーーというより無理矢理取り付けられたといっても過言でないその翌日、二人は前回と同じ居酒屋に入った。


「夏季休暇はどうだった」


雑談のつもりなのか、突然界斗がそう言って話を切り出した。


「特に何も…実家に帰ったくらいです。と言ってもほんの少し顔を出しただけなんですけど」
「近いのか」
「新幹線で3時間くらいです」
「そこそこ遠いな。なら泊まった方が楽じゃないか?」
「いえ、最近はその…結婚はどうなのかって圧が増えてきて」
「……」
「母達の世代なら私の年齢で結婚してるなんて当たり前だったのは分かるんですけど、ちょっと居心地悪くて」
「結婚願望無いのか」
「良い人がいたら、くらいには。けどまあ…この通りなので」


自分の姿を見れば分かるだろうと、詳しくは言わなかった。


「朝比奈は良い女だと思うぞ」
「!」


この男はつくづく自分を振り回すのが上手い。

本人に自覚がないのがタチが悪いが、界斗のような男に良い女などと言われたら、普通の女なら誰だって勘違いしてしまう。


現に、界斗の事情を知らなければ自分だってどう思っていたか分からないほどに、胸が高鳴ったのだから。