ハロウィンの悪魔




誘いをのらりくらりと交わし一ヶ月、夏季休暇が明けて昼休みに食堂で一人昼食を摂っていると「前いいか」と界斗が目の前に座った。


「俺のこと避けてるよな」


そう言われ一瞬“シホ”の事を言われてるのかとギクリとした。


「…そんなことないですよ」
「俺、何かしたか」


少し落ち込んだ声色で言われた。

気のせいだと伝えたが、実際のところ会社でもできるだけ会わないように意識もしていたのでそれ以上はどうとも言いようがなかった。


“シホ”としてもう何度も会っているが特に会社で顔を合わせても何も反応が無い為、此処で界斗を避ける理由はもう無いのだが…なんとなく気まずかったのだ。



「業務の事で何か聞きたい事でもありましたか?」
「そうじゃない」
「じゃあそんなに気にする事でもないような気がしますが…」


会社で会わない事を気にするような間柄ではない、そういう意味も込めて言えば界斗はむっつりと黙り込んでしまった。


いまいち界斗の頭の中が読めずに怪訝に思っていると、しばらくして重い口を開いた。




「避けてないっていうなら飯に付き合ってくれ」



なんでだ、咄嗟に思ったのはそれだった。



前回は栞があの夜に会った女だと思ったから誘ったのであって、今回は全く関係ない。


「今日が無理ならいつでもいい。とにかく一度時間作ってくれ」
「え、と…」


この男はこんな人だっただろうか。