ハロウィンの悪魔





「…半年くらいに前に会った女を探してて、その女に朝比奈が似てる気がしたんだ」
「えっと…その方とは何処で出会ったんですか?」
「ホテルのバーだな」
「…どんな女性だったか聞いてもいいですか?」
「所作の綺麗な女だった。あとは…」


ひと息置いて、界斗は熱に浮かされたように続けた。


「目が綺麗だと思った」


その言葉に、痛いくらいに胸が締め付けられた。

嫌で堪らなかったコンプレックスを綺麗だと言われて嬉しくない筈がない。

けれど分からない。
たったそれだけの理由で半年も前に一度会ったきりの女の面影を追い求めるものだろうか。



「酔っていたとはいえ、悪いと思ってるんだ」



ーーああ、成る程。

少しだけ界斗の気持ちが見えてきた。

育ちの良い界斗はいくらアルコールの勢いとはいえ、女性と無責任にワンナイトを過ごしてしまった事を悔いているようだ。

百戦錬磨のような見た目で中身は随分と真面目な男らしい。


「…合意だったんですよね?ならそこまで気に病まなくてもいいんじゃないですか」
「あっちはそう思ってないかもしれないだろ」


朝目が覚めた時にはもう姿が無かったと界斗は続けた。


確かに栞はあの日、早朝に目が覚めて隣に眠る男のあまりの顔の美しさに驚き過ぎて尻尾を巻いて逃げた。

誘い方もスマートだったし、てっきり慣れている遊び人だと思ってたのにまさかこんな事になるなんて予想外過ぎる。