トートバッグを肩に掛け立ち上がった佳純の視線の先にふと人影が写った。
すらりとした高い背丈の男性がこちらに足を向けているように見えた。
土曜の昼ではあるが、広い敷地内であまり人を見かけなかったのでなんとなく気になって姿を追う。
(……え?)
だんだん近づいてくるその顔を認識した途端、身体中の血が凍り付いた。佳純は目を極限まで開くと同時に音もなく息を吸い込む。
(そんなはずない……彼がここに来るなんて、ありえない。きっと人違いだ)
男性を茫然と見つめながら必死で自分に言い聞かせる。そうでなければ彼の幻を見ているのだ。
「佳純!」
どういうことだろう。自分を呼ぶ声も記憶のままだ。
身動きが取れないでいる佳純の前にその人は立った。
「佳純」
もう一度名前を呼ばれる。現実だと認識し、ドクンと大きく鼓動が跳ねた。
「しゅん、さん……」
絞り出した声は自分でも驚くくらいかすれていた。
こちらを見つめているのは別れた元恋人の瞬。整った顔つきは四年前となんら変わっていなかった。
「なん、で」
すらりとした高い背丈の男性がこちらに足を向けているように見えた。
土曜の昼ではあるが、広い敷地内であまり人を見かけなかったのでなんとなく気になって姿を追う。
(……え?)
だんだん近づいてくるその顔を認識した途端、身体中の血が凍り付いた。佳純は目を極限まで開くと同時に音もなく息を吸い込む。
(そんなはずない……彼がここに来るなんて、ありえない。きっと人違いだ)
男性を茫然と見つめながら必死で自分に言い聞かせる。そうでなければ彼の幻を見ているのだ。
「佳純!」
どういうことだろう。自分を呼ぶ声も記憶のままだ。
身動きが取れないでいる佳純の前にその人は立った。
「佳純」
もう一度名前を呼ばれる。現実だと認識し、ドクンと大きく鼓動が跳ねた。
「しゅん、さん……」
絞り出した声は自分でも驚くくらいかすれていた。
こちらを見つめているのは別れた元恋人の瞬。整った顔つきは四年前となんら変わっていなかった。
「なん、で」



